ウタゲ)” の例文
だが彼の心は、瞬間明るくなつて、先年三形王の御殿でのウタゲクチズサんだ即興が、その時よりも、今はつきりと内容を持つて、心に浮んで來た。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
だが彼の心は、瞬間明るくなつて、先年三形王の御殿でのウタゲクチズサんだ即興が、その時よりも、今はつきりと内容を持つて、心に浮んで來た。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「いとこ汝兄ナセキミ」と言ふ歌ひ出しは「ものゝふの我がせこが。……」(清寧記)と言つた新室のウタゲの「詠」と一つ様である。又二首共結句に
新室のほかひ(ほぎ——祝福)が、段々「ウタゲ」と言ふ習俗を分化した元となつた事は、此ほか万葉集などを見ても知れる。
叙景詩の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此信仰の古いものは、縮見シヾミ細目の家の新室ニヒムロウタゲにまれびと久米部小楯の為に遊び歌はれた二皇子の伝説の如きものが、其適例を示してゐる。
新室ニヒムロウタゲ及び、旅にあつての仮廬祝カリホホぎから出て来た「矚目吟詠」は、次第に叙景詩を分化して来た。
馬上の主人も、今までソレばかり考へて居た所であつた。だが彼の心は、瞬間明るくなつて、先年三形王ミカタノオホキミの御殿でのウタゲクチズサんだ即興が、その時よりも、今はつきりと内容を持つて、心に浮んで来た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)