定例きまり)” の例文
二人が碁をはじめると夜明しをするのが定例きまり。お互いに天狗を言いながら局面をにらんでいると、夜中にフイと行燈あんどんの火が消えた。
門の左右に立った岩淵達之助と等々力十内、顔を見あわせたが、定例きまりであってみれば、お前さんはよろしい、お前さんは困るということはできない。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
おとらは作の隠れて寝ている物置のような汚いその部屋を覗込のぞきこみながら毎時いつものお定例きまりを言って呶鳴どなった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
わたし此春先このはるさき——こと花見頃はなみごろ時候じこうになると、左右とかくのうわるくするのが毎年まいねんのお定例きまりだ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
海老床えびどこの縁台では、今宵、後の月を賞めるほどの風雅みやびはなくとも、お定例きまりの芋、栗、枝豆、すすきの類の供物くもつを中に近所の若い衆が寄り合って、秋立つ夜の露っぽく早や四つ過ぎたのさえ忘れていた。