娶合めあわ)” の例文
娶合めあわせられた呉侯が、その婿たるお方のかくばかりな苦境をば、何とて他に見ましょうぞ。臣下に対して、表向き、きびしく約束の履行を
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あくる日はすぐ公儀の御届を済ませ、石崎平馬が承知なら、娘のお礼をそのまま嫁にして、助十郎と娶合めあわせると言い出した
盲人の不評を庇護したばかりでなく、一人の子供の乳母で子供が乳離れしてからまだ家にいた女を盲人に娶合めあわせて本家の向う側に小さな雑貨店を出させた。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ゆくゆくは徳三郎に娶合めあわせようという話もありますが、年が違い過ぎるので、お勇の方で承知しそうもありません。
「押しつけがましゅうござるが、拙者と月江殿をお娶合めあわせ下さること、お許し願えましょうか」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
内儀のお蔦は一年孤閨こけいを守った上、親類方の相談で、支配人をしていた、主人の義理の甥由兵衛に娶合めあわせ、升屋の身上は、小揺ぎもなく立って行きました。
曹操がそれをあわれんで自身の一女を娶合めあわせたので、諸人の尊重をうけてきたが、ようやくその為人ひととなりが現われてくるにつれて天性やや軽躁けいそう、そして慳吝けちたちも見えてきたので
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高弟の川波勝弥と娶合めあわせてこの道場を継がせるつもりだったのが、柴田弾右衛門が癈人同様になって、道場の前途がはなはだ心細くなった上、川波勝弥が近頃望まれて
「もし玉蘭が好きになったら、行く末、そちの妻に娶合めあわせてつかわすぞ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一人をお嬢様と娶合めあわせて、跡取りにするということになりましたが、その時左太松どんはおくにという女とねんごろになっていて、お嬢さんの婿には、祐吉どんとまりました
御弟子みでしのうちから、一人の若人をちょうだいして、私の末姫すえむすめ娶合めあわせたいと考えまするが、上人に、お言葉添えをしていただかれましょうや? ……」琥珀こはくの珠でもあるような上人のひとみ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どちらも二十四で、いずれお吉お雪姉妹に娶合めあわせるのではないかと世間では言っております。
万一眼識めがねにかなえば、お品——出戻りのまずい面じゃ、大して有難くもあるまいが、とにかく、お品と娶合めあわせるなり、それがいやなら外から嫁を取って、俺の跡を継がしてもいい
これだけ美しくなると、娶合めあわせるような人間の男は、そうザラに転がっては居りません。縁談は降るようにありますが、選り好みするともなく、到頭十九の春を迎えてしまいました。
世間ではそれを清次郎に娶合めあわせることとばかり思い込んでおりましたが、どうしたことかそんな様子もなく、半年ほど前から清水家に掛り人になっている、お夏という十八になる娘と
それからもう一つ、四方屋の跡は誰に取らせるのかという問いに対しては、手代の喜三郎は遠縁の者で心掛けも人柄も悪くないし、お秀との仲も好いから二人を娶合めあわせて跡を取らせる心算つもり
半次郎はすっかり改心して真人間に返り、その心持を実行に移すために死んだ孫六の倅孫三郎に、妹のお梅を娶合めあわせて、翁屋の家督をゆずり、自分は蔭ながら翁屋の家業回復につとめました。
手代の千吉(後の総七)と娘のお信を娶合めあわせ、越前屋の跡取りにしてからは、少し自棄やけ気味で遊び始め、時のはずみで、お粂のような鉄火者と一緒になりましたが、フトした事から、先代の総七が
「お孃さんと娶合めあわせて、丁子屋の後を繼がせるといふ話ですが」
「もっとも、娘のお民は出羽屋さんでお世話になって、奉公人と言っても、お客分同様、近いうちに、若旦那と娶合めあわせて下さるという、内々の話もあります。あの通り、歌舞伎役者のような若旦那ですから、娘はとんだ仕合せものですよ」