姿形すがたかたち)” の例文
その夜を限りその姿形すがたかたちが、生残った人たちの目から消え去ったまま、一年あまりの月日が過ぎても、二度と現れて来ないとなれば
草紅葉 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
おとらと三人でいる時でも、青柳はよくめきめき娘に成ってゆくお島の姿形すがたかたちを眺めて、おとらに油断ができないと思わせるようなみだらことばを浴せかけた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
姿形すがたかたちのうるはしきのみならでこゝろざまのやさしさなさけふか絲竹いとたけみちけたるうへ瀧本たきもとながれを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
中津川は美濃の國なり國境くにざかひ馬籠まごめと落合の間の十こくたふげといふ所なり國かはれば風俗も異なりて木曾道中淳朴じゆんぼくふうは木曾川の流と共にはなれてやゝ淫猥の臭氣あり言語ことばも岐阜と名古屋半交はんまぜとなり姿形すがたかたちも見よげになれり氣候も山を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)