奇癖きへき)” の例文
例の奇癖きへきかういふ場合ばあひにもあらはれ、若しや珍石ちんせきではあるまいかと、きかゝへてをかげて見ると、はたして! 四めん玲瓏れいろうみねひいたにかすかに、またと類なき奇石きせきであつたので
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
先代染井鬼三郎の奇癖きへきは、この帶幅の彫物を隱す爲であつたと言つても差支へはないでせう。
小説家の奇癖きへきには慣れっこになっている雑誌記者も、春泥の人嫌いを持余もてあましていた。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
若し、大河原伯爵家に、怪賊白蝙蝠の乗ずべき隙があったとすれば、この令嬢の奇癖きへきが唯一のものであったかも知れない。それ程この大政治家の生活には、油断も隙もなかったのだ。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)