大酒たいしゅ)” の例文
すると鶴屋の主人あるじもついついその話につり込まれて六、七年前に大酒たいしゅで身をそこねた先代の親爺おやじから度々聞かされた話だといって
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
これへわらびを入れるもおかしいから止しましょう……へえお盃を戴きます、わたくしも若い時分には随分大酒たいしゅもいたしましたが、もう年を取ってはすぐに酔いますなア
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
相変らずの大酒たいしゅで家計があまりゆたかでないという事や、すべてこれらは、健三に取って耳新らしい報知たよりに違なかったが、同時に大した興味をく話題にもならなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから良人は次第に立身いたします、悴は大きくなりまして、私もよほど楽になったのですが、ただ気をもみましたのは、良人の大酒たいしゅ——軍人は多くそうですが——の癖でした。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
大酒たいしゅのために一家分散して昨今は博多瓦町の町外れ、万延寺境内に逼塞ひっそくし、福岡博多の町々を徘徊して物を貰い、又は掃溜はきだめあさりながら行く先々の妙齢の娘の名前、年齢、容色、行状
始めてお目にかかって自分の事を云うようであるが、私は元来の酒客しゅかくかも大酒たいしゅだ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「あい。合点でございますが、あんた、えら大酒たいしゅですな。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
れは私が大酒たいしゅ夜更よふかしの功名ではない僥倖ぎょうこうである。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)