大詰おおづめ)” の例文
大詰おおづめ奔馬ほんばの魔術という大道具の一場があって、その日の打出しとなりましたが、これを最後まで見ていた見物のうち、二人の壮士がありました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「とにかく、冗談はやめてもらおう。それほど算哲の遺骸が気になるのだったら、その発掘は、この事件の大詰おおづめが済んでからのことにしようじゃないか」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
大詰おおづめの幕がひかれたのが、九時過ぎ。新宿から車で帰る。提灯ちょうちんの火がうつる程、街道かいどうは水がたまって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そうそう裁判所のところが大詰おおづめに出るので、大道具長谷川勘兵衛かんべいさんと、裁判所まで行ったんだよ。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
東北戦争——多年の討幕運動の大詰おおづめともいうべき戊辰ぼしんの遠征——その源にさかのぼるなら、開国の是非をめぐって起こって来た安政大獄あたりから遠く流れて来ている全国的の大争いが
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
道益の手の者は、谷戸の口で乱破の下廻りに誘導され、谷袋の奥へ追込まれたうえ、八方から矢を射かけられ、十梃あまりのモスケッタ銃を敵方に差上げたところで、あえなく大詰おおづめをだした。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それから女と泣き別れの愁歎場しゅうたんばがよろしくあって、とどあの晩汽車の窓で手巾ハンケチを振ると云うのが大詰おおづめだったんだ。何しろ役者が役者だから、あいつは今でも僕が国へ帰っていると思っているんだろう。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かくて軍部日本人合作の大詰おおづめの一幕が八月十五日となった。
堕落論〔続堕落論〕 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)