大法螺おおぼら)” の例文
そういう大法螺おおぼらをふいたり、軍功のある者だなどといつわって、自称豪傑や、自任官職のやからが横行する由を、お聞きになられたからである。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ヴォルテールいわく、『聖書』に神自身を模して人を作ったと言うは大法螺おおぼらで、実は人が自身をまねて神を作ったんじゃと。
そのうちに公儀から召出されて公方くぼう様の糸脈を引くんだなんて大法螺おおぼらを吹いているところをみると、あんまり信用のできる医者じゃありませんね。
すると、誰でも遊びに来る時などには、うちに金瓶が八つに、ダイヤモンドが八十六も有るように大法螺おおぼらを吹きます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「よし! それだけいえばよく分かるよ。この太い大法螺おおぼらふきめ。おい、警備隊員、こいつの背中に鞭を百ばかりくれて、甲板から海中へつきおとせ」
浮かぶ飛行島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大法螺おおぼら男爵やドンキホーテにたった一つ出来ないことがあるのである。それは憎むということだ。
ジュリアンの「ほんとうの話」の大法螺おおぼらでも、夢想兵衛むそうべえの「夢物語」でも、ウェルズの未来記の種類でも、みんなそういうものである。あらゆるおとぎ話がそうである。
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
をいだいた小学生式の威張り屋さんにとって、すこぶる魅力があるからね。大法螺おおぼら吹きだよ。
廷珸は大喜びで、天下一品、価値万金ばんきんなんどと大法螺おおぼら吹立ふきたて、かねて好事こうずで鳴っている徐六岳じょりくがくという大紳たいしんに売付けにかかった。徐六岳を最初から廷珸は好い鳥だと狙っていたのであろう。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
年若いジャンナンは、同輩らが皆なしてるように、一の商人から他の商人のほうへと移り歩き、その大法螺おおぼらに耳を傾け、時とするとそれに気をひかれて、小屋の中へはいってゆくこともあった。
昔話をするのか、大法螺おおぼらを吹くのかと思われるのである。ところが、それが事実である。三方四方がめでたく納まった話であるから、チルナウエルは生涯人に話しても、一向差支はないのである。
あのじんには、お家の浮沈を憂うるとか、殿の将来を案じるとか、そんな忠義のかけらも心にはないとみえる。ただ大法螺おおぼらを吹くだけが能事のおひとらしいて
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時梵王天の香油を以て大迦葉尊者の身にそそぎ、大犍稚だいかんちを鳴らし大法螺おおぼらを吹く音を聞いて、大迦葉すなわち滅尽定めつじんじょうよりめ、衣服を斉整して長跪ちょうき合掌し
「道楽に身を持崩して、東海坊の弟子になり、大法螺おおぼら合槌あいづちを打ってトウセンボウとか名乗ったんだろう」
敬二はそこまで読むと、ドン助の大法螺おおぼらにブッとふきだした。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
公方くぼう様の糸脈を引く——と大法螺おおぼらを吹くだけあって、なかなかの見識です。