大檀那おおだんな)” の例文
鉄心道人の第一番の大檀那おおだんなで、庵室を建ててやったのも、諸経費の不足を出してやるのも、みんなこの男の篤志とくしだということです。
島の内船場の大檀那おおだんなの生ませた子ということになっているが、源之助の容貌を見ると、大阪の中村宗十郎とどうも似て、下顎したあごの少し張った美しい顔をしている。
役者の一生 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
先ごろ、熊野新宮へ御寄進の大釜おおがま一口に、大檀那おおだんな鎌倉ノ執権しっけん北条高時と、御銘ぎょめいらせたものを運ばせたとか伺っていた。それの帰りの一と組だろう、このやから
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
成就せしめんとする大檀那おおだんなは天下一人もなく数年来鬱積うっせき沈滞せるもの頃日けいじつようやく出口を得たることとて前後ぜんご錯雑さくざつ序次じょじりんなく大言たいげん疾呼しっこ我ながら狂せるかと存候ほどの次第に御座候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
大檀那おおだんなの松本さんが言ってくれた。
合縁奇縁 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
自分の前にしゃがんだ、大枚十二文の大檀那おおだんなの顔を、乞食坊主の鑑哲かんてつは、腑に落ちない顔で、ぼんやり見上げるのです。
帰依の大檀那おおだんなたる大内国時くにときも城を出て親鸞たちの一行をむかえた。小栗の城主尚家ひさいえもきていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外国のひげづらどもが大砲をはなたうが地雷火を仕掛しかけうが、びくとも致さぬほどの城壁に致したき心願しんがん有之、しかも生を助けてこの心願を成就じょうじゅせしめんとする大檀那おおだんなは天下一人もなく
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
長岡佐渡さどは、度々この寺へ姿を見せる大檀那おおだんなの一人だった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)