大度たいど)” の例文
よくもこう一個の身で、ぼんと非凡、大度たいどと細心、大見得おおみえとまるはだかとの、仕分けができるかとおもわれるほど、いわゆる達者な生命力を、日々、飽くことなく生きていた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天下のたみ寒き者多し独り温煖あたたかならんやとのたまいし。そうの太祖が大度たいどを慕い。あまねく慈善を施せしも。始め蛍の資本ひだねより。炭もやくべき大竈おおかまどと成りし始末の満尾まんび迄。御覧をねがうというよしの。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いうまでもなく、彼は、荘王の大恩に報じたものです。世にはこの佳話を、絶纓ぜつえいかいと伝えています。……太師におかれても、どうか、荘王の大度たいどを味わってください」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、生れて初めて、ほんとの生死の線を通って来た尊い体験と、のあたり信長から身をもって教えられたいくさというものの機微、人心の把握など、総じて、将たるうつわ大度たいどを見たことであった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)