大仁行きの馬車は家々の客を運んでゆく。赤とんぼが乱れ飛んで、冷たい秋の風は馬のたてがみを吹き、人の袂を吹いている。
末延は森林主事に助けられて大仁の病院へ運ばれたが、脊椎の骨折で二日後に死んだ。ペルシャ模様のネッカチーフは現場にあった遺留品だということだった。
大仁から高等馬車が出るとのこと、さっそく私も修善寺まで一台注文すると、新橋あたりでさんざん稼いだ大古物、生れて初めて乗る馬車がこのはげちょろに全くうんざり。
“大仁”の解説
大仁(だいにん)は、604年から648年まで日本にあった冠位である。冠位十二階の第3で、小徳の下、小仁の上にあたる。
(出典:Wikipedia)
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