夜籠よごも)” の例文
年の夜は夜籠よごもりをして寝ないのが古来の習わしであった。それ故に寝るという語を避けて言わず、それもまた睡眠のイネに掛けたのも言葉のあやであった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
奥の院の夜は寂しくとも、信心ぶかい者の夜詣よまゐりが断えぬので、燈火の断えるやうなことは無い。また夜籠よごもりする人々もゐると見え、私等の居る側に茣蓙ござなどが置いてある。
仏法僧鳥 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
……それを、私はゆうべ、わが子の病気平癒の祈願のため、あの妙厳寺の荼吉尼天堂だきにてんどう夜籠よごもりしているうちに、夢ともうつつともなく、御堂みどうの内で、つい聞いていたのでした。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜籠よごもりに、ささらえをとめ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
夜籠よごもり?」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
二十三夜の夜籠よごもりの慣行は、次第にこの夜の月の出を拝むという信仰にかわってきて、年に三度とか隔月かくげつにとかいう例も多くなったけれども、それでも中国地方の一部などで
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
祈願の夜籠よごもりまでしてもどったとか……そのおり久子から又聞きに聞いてもいた
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また夜籠よごもりする人々もいると見え、私等の居る側に茣蓙ござなどが置いてある。
仏法僧鳥 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ただ講中こうじゅうの人々が念仏を教えられたというまでであり、親しい友だちが月に一度または二月に一度、集まって夜籠よごもりをする慣例の方が、もっと古かったのではないかと私は思っている。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
時折、伽藍の近くから、夜籠よごもりの遍路へんろりんが、ゆるく、眠たげに……。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)