トップ
>
堪忍
>
かに
ふりがな文庫
“
堪忍
(
かに
)” の例文
その悲鳴がまた、じっと耳を澄ましていると、「
堪忍
(
かに
)
してくれエ!」というのではなく、「助けてくれエ!」というようである。……
日本に於けるクリップン事件
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何から何まで見透しでお慈悲深い上人様のありがたさにつくづく我折って帰って来たが、十兵衛、
過日
(
こないだ
)
の云い過ごしは
堪忍
(
かに
)
してくれ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
……(
息子
(
むすこ
)
の額や頬や頭にキスする)可愛いわたしの子、
堪忍
(
かに
)
しておくれ。……罪ぶかいお母さんを
赦
(
ゆる
)
しておくれ。不仕合せなわたしを赦しておくれ。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「あらまた、厭ねえ、
貴下
(
あなた
)
は。後生ですからその(お米は幾干だい、)と云うのだけは
堪忍
(
かに
)
して頂戴な。もう私は極りが悪くって、同行は恐れるわ。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「サアシヤがわるい、(さだ子)サアシヤがわるい。ね
堪忍
(
かに
)
して、堪忍してえ!」
脱殻
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
▼ もっと見る
「ほんまにお前にも苦労さすなあ。
堪忍
(
かに
)
してや。しかし、なんやぜ、よそへ貰われるより、こないしてお
祖父
(
じい
)
やんと一緒に
飯
(
まま
)
食べる方が、なんぼ良えか判れへんぜ。な、そやろ? そない思うやろ?」
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「もう
堪忍
(
かに
)
して下さつて。」
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
すると美佐子は彼の
叱咜
(
しった
)
をキッカケにして一層声を放って泣いた。「
堪忍
(
かに
)
して下さい、あたしあなたに今日まで隠していたことがあるのよ」
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いやご免ご免、
堪忍
(
かに
)
しておくれ。お前の言うとおりだろうとも。……お前は気前のいい、
鷹揚
(
おうよう
)
な女だからな。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
堪忍
(
かに
)
して下され口がきけませぬ、十兵衛には口がきけませぬ、こ、こ、この通り、ああありがとうござりまする、と愚かしくもまた
真実
(
まこと
)
にただ
平伏
(
ひれふ
)
して泣きいたり。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こう、按摩さん、舞台の
差
(
さし
)
は
堪忍
(
かに
)
してくんな。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
堪忍
(
かに
)
して! 堪忍して!」
脱殻
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「
堪忍
(
かに
)
して上げない。」
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「
堪忍
(
かに
)
してくれエ!」とか、「御免よう!」とかいうらしい声が、途切れ途切れに、さも哀れッぽく、力なく響いた。
日本に於けるクリップン事件
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
堪忍
(
かに
)
して下され、様子知っては
憚
(
はばか
)
りながらもう叱られてはおりますまい、この清吉が女郎買いの供するばかりを能の野郎か野郎でないか見ていて下され、さようならば
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「ああもうたくさん、
堪忍
(
かに
)
しておくれよ」
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嗚呼私が馬鹿でござりました、のつそりは何処迄ものつそりで馬鹿にさへなつて居れば其で可い訳、溝板でもたゝいて一生を終りませう、親方様
堪忍
(
かに
)
して下され
我
(
わたし
)
が悪い
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「看護婦附キデ泊ッタリスルト手数ヲカケルコトニナルカラナ。ソレニ颯子モイルコトダシ、———颯子ハ南禅寺ヘ泊ルノハ懲リ/\ダカラ、ソレダケハ
堪忍
(
かに
)
シテクレト云ッテルンダ」
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
夫人
堪忍
(
かに
)
して下さいまし。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「譲治さん、悪かったから
堪忍
(
かに
)
してッてば!………堪忍して、堪忍して、………」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一時の料簡違ひは
堪忍
(
かに
)
して下さる事もあらう、分別仕更て意地張らずに、親方様の云はれた通り仕て見る気にはなられぬか、と夫思ひの一筋に口説くも女の
道理
(
もつとも
)
なれど、十兵衞はなほ眼も動かさず
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
堪忍
(
かに
)
して、………譲治さん! もう今度ッから、………」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「譲治さん、
堪忍
(
かに
)
してね、………」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
“堪忍”の意味
《名詞》
堪 忍(かんにん)
怒りをこらえ、人の過ちを許すこと。勘弁。
(古)不利な状況や困難な状況にも堪えて、我慢すること。
(古)経済力、生活費。
(出典:Wiktionary)
堪
常用漢字
中学
部首:⼟
12画
忍
常用漢字
中学
部首:⼼
7画
“堪忍”で始まる語句
堪忍袋
堪忍分
堪忍嚢