坤軸こんじく)” の例文
以前はこれが一面の目を驚かすものだったが、何の年かの大地震に、坤軸こんじくを覆して、左右へ裂けたのだそうである。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かの鰲背ごうはいあつめて丘の如く、そのいきほひふせがんと為れど、触るれば払ひ、当ればひるがへり、長波のくところ滔々とうとうとして破らざる奮迅ふんじんの力は、両岸も為に震ひ、坤軸こんじくも為にとどろ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
だんだん足場を取り除けば次第次第にあらわるる一階一階また一階、五重巍然ぎぜんそびえしさま、金剛力士が魔軍を睥睨にらんで十六丈の姿を現じ坤軸こんじくゆるがす足ぶみして巌上いわおに突っ立ちたるごとく
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
富士の雪は夕陽に映るとき、最も美しく候、ここはなお雪がふらず、白峰おろしは大抵一日おき位に、午後より夕まで、または夕より十二時頃まで、すさまじき音をたて、この夜坤軸こんじくを砕く大雪崩の
雪の白峰 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
地を坤軸こんじくから掘覆ほりかえして、将棊倒しょうぎだおしせかけたような、あらゆる峰をふもといだいて、折からの蒼空あおぞらに、雪なす袖をひるがえして、軽くその薄紅うすくれないの合歓の花に乗っていた。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
暴雨そそぎて天地鳴動し、坤軸こんじくも折るるかと
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)