土工どこう)” の例文
すると泥だらけの土工どこう二人ふたり瓦斯ガスか何かの工事をしてゐた。狭い路は泥の山だつた。のみならずその又泥の山の上にはカンテラの火が一つなびいてゐた。
都会で (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
千九百幾年に何処どこの墓地で掘出したと云ふ様な事が一区域ごとに記されて居るのは、巴里パリイの市区改正や地下電車の土工どこうの際などに各墓地から無縁の骸骨を集めたからである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
おまえは墓の土盛つちもりの全部済むのを見届けて帰ったかと訊問すると、母のひつぎを納めて、その上に土をかけるまでを見届けて帰ったが、塚全体を盛りあげるのは土工どこうに任せて
女侠伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
陣笠じんがさ具足ぐそくも、昼のあかりで見れば、それは一づくりの紙ごしらえであろう、兵はみな、小太郎山の、とりでの工事にはたらいていた石切りや、鍛冶かじや、大工だいくや、山くずしの土工どこうなのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)