土佐絵とさえ)” の例文
その上に土蔵の中から取出された見事な花茣蓙ござが敷詰められて、やはり土蔵の奥から持出された古い質草らしい、暑苦しい土佐絵とさえ金屏風きんびょうぶが建てまわされた。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかし土佐といえば、誰も産物として手漉てすきの和紙を挙げるでありましょう。「土佐半紙とさばんし」の名は「土佐絵とさえ」、「土佐犬とさいぬ」、「土佐節とさぶし」などの如く、土佐にちなむものとして広く聞えます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
丹塗にぬりの柱、花狭間はなはざまうつばりの波の紺青こんじょうも、金色こんじきりゅうも色さみしく、昼の月、かやりて、唐戸からどちょうの影さす光景ありさま、古き土佐絵とさえの画面に似て、しかも名工の筆意ひついかない、まばゆからぬが奥床おくゆかしゅう
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)