団居まどい)” の例文
その晩は近親と同志とホンの少数の友人だけが祭壇の前に団居まどいして、生前を追懐しつつ香を手向たむけて形ばかりの告別式を営んだ。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
それとも雛の祭ってある前に団居まどいして小さい盃で人々が酒盛りでもしている光景か、いずれにでも解されぬことはない。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
親子三人がびしいながらも慰め合って、しずかな団居まどいを楽しむことが出来たからである。
さてその次にはめでたく帰国するまで幸衛門を初めお絹お常らの身に異変なく来年の夏またあの置座おきざにてゆうべ涼しく団居まどいする中にわれをも加えたまえと祈り終わりてしばしはかしらを得上げざりしが
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
河内かわち和泉いずみ、あの辺の田舎いなかから年期奉公ぼうこうに来ている丁稚でっちや下女が多いが、冬の夜寒よさむに、表の戸をめて、そう云う奉公人共ほうこうにんどもが家族の者たちと火鉢ひばちのぐるりに団居まどいしながらこの唄をうたって遊ぶ情景は
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)