喪屋もや)” の例文
だから彼は喪屋もやが出来ると、まだ美しい妻の死骸の前に、七日七晩坐つた儘、黙然もくねんと涙を流してゐた。
老いたる素戔嗚尊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
若日子の父の天津国玉神あまつくにたまのかみと、若日子のほんとうのお嫁と子供たちがそれを聞きつけて、びっくりして、下界へおりて来ました、そして泣き泣きそこへ喪屋もやといって
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「我はうるはしき友なれ二七こそ弔ひ來つらくのみ。何ぞは吾を、穢きしに人にふる」といひて、御佩みはかしの十つかの劒を拔きて、その喪屋もやを切り伏せ、足もちてゑ離ち遣りき。
「人がわざわざくやみに来たのに、それをきたない死人などといっしょにするやつがどこにある」とどなりつけながら、長いつるぎきはなすといっしょに、その喪屋もやをめちゃめちゃに切り倒し
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
ここに天なる天若日子が父天津國玉あまつくにたまの神、またその妻子めこ二〇ども聞きて、降り來て哭き悲みて、其處に喪屋もや二一を作りて、河鴈を岐佐理持きさりもち二二とし、さぎ掃持ははきもち二三とし、翠鳥そにどり御食人みけびと二四とし