品隲ひんしつ)” の例文
人物や事物の善し悪しを論じる所謂批判・批評・品隲ひんしつのようなものを除外するならば、クリティシズムは嗤うべきスコラ用語となる。
ことに行成こうぜい品隲ひんしつし、世尊寺をあげつらうほどの娘ですから、女にしてこれだけの文字が書けるということ、そのことにあるねたみを感じ
彼等は、この五位の面前で、その鼻と口髭と、烏帽子と水干とを、品隲ひんしつして飽きる事を知らなかつた。そればかりではない。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
有若の語は学而篇において非常に重んぜられている。しかるに河間七篇における弟子品隲ひんしつに際しては全然無視されている。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
どんな動物を見ても要するにこれは牛かい馬かい牛馬一点張りですべて四つ足を品隲ひんしつされては大分無理ができる。
中味と形式 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
が、この晩年のレコードを以て、ゴドフスキーの全部を品隲ひんしつし、一概にくさし付けてはいけない。
一鼠はかつてその著書の序文において大魯から品隲ひんしつを受けたことがあるように記憶しております。一鼠に代えるに何人をもってするともたいしてさしつかえはありません。
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
北尾辰宣の筆ならんてふ異体の百人一首に、十種の男を品隲ひんしつして白を第六等にき、リチャード・バートンはアラビア人が小唇の黒きを貴ぶ由をいった(一八九四年版『千一夜譚』注)。
過去の文学は未来の文学を生む。生まれたものは同じ訳には行かぬ。同じ訳に行かぬものを、同じ法則で品隲ひんしつせんとするのは舟を刻んで剣を求むるのたぐいである。
作物の批評 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
心理的・社会的・論理的・な法則によって作品を品隲ひんしつするものは、また他種の「科学的」評論である。
文芸評論の方法について (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
その自ら「おれ」と称する連中の口から、旅行の予想、生徒同志の品隲ひんしつ、教員の悪評などが盛んに出た。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
今は居士の大を為すために、公平に厳密に門下生を品隲ひんしつする必要があった。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
吾人の評価は時と場合に応じ吾輩の眼玉のごとく変化する。吾輩の眼玉はただ小さくなったり大きくなったりするばかりだが、人間の品隲ひんしつとくると真逆まっさかさまにひっくり返る。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)