ことごと)” の例文
天皇憐愍れんみんして使を遣して犯状の軽重を覆審ふくしんせしむ。是に於きて、恩をくだしてことごとくに死罪已下いげゆるし、並に衣服を賜ひ、其れを自ら新にせ令む。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
是に於て名山大沢ことごとく霊あり。古廟叢祠また主者多し。けだおもふに、群生昏墊ぐんせいこんてん衆類冥頑しゅうるいめいがん、或は悪を長じて以てあらためず、或は凶を行うて自らほしいままにす。
令狐生冥夢録 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ま党員たるの位地よりしてこれを言えば、本校の学生諸君をしてことごとく改進の主義にしたがわしめ、なその旗下に属せしめんと欲するは、もとよりその所なり(大喝采)。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
心理の上かられば、智愚の別なく人ことごとく面白味は有る。内海文三の心状を観れば、それは解ろう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
誠に三宝の威霊にりて、乾坤あめつち相泰あひゆたかに、万代の福業さきはひを修めて動植はことごとく栄えしめむと欲す。
君臣相念 (新字旧仮名) / 亀井勝一郎(著)