吹捲ふきま)” の例文
ちょいと雛形みほんがこんなもの。三十余人の貧民等、暴言を並べ、気焔きえんを吐き、嵐、こがらし一斉いっときどっと荒れて吹捲ふきまくれば、花も、もみじも、ちりぢりばらばら。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何もかもを、滅茶苦茶に打毀うちこわして了い度いような、狂的な焦燥が、嵐のように全神経を吹捲ふきまくるのであった。そして博士は、私のその感動を、私の幾十倍の激しさで感じていたに相違ない。
こういう時は、その粉雪を、ぐるみ煽立あおりたてますので、下からも吹上げ、左右からも吹捲ふきまくって、よく言うことですけれども、おもての向けようがないのです。
雪霊記事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ときは、粉雪こゆきを、ぐるみ煽立あふりたてますので、したからも吹上ふきあげ、左右さいうからも吹捲ふきまくつて、よくふことですけれども、おもてけやうがないのです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)