同人どうじん)” の例文
『活文壇』は木曜会同人どうじんの作を発表するのかたわらひろく青年投書家の投書を歓迎して販売部数を多からしめんことを試みたり。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
音楽会が終った後で、俊助しゅんすけはとうとう大井おおい藤沢ふじさわとに引きとめられて、『城』同人どうじん茶話会さわかいに出席しなければならなくなった。彼は勿論進まなかった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なんのためだとおもふと、しづめる妙法めうはふで——露骨ろこつに、これを説明せつめいすると、やきもちしづめ——そのしぶさ、ゆかしさ、到底たうてい女人藝術げいじゆつ同人どうじんなどの、かんがへつくところのものではない。
「君はまだこの先生を知らなかったかな。仏文の藤沢慧ふじさわさとし君。『城』同人どうじんの大将株で、この間ボオドレエル詩抄と云う飜訳を出した人だ。——こっちは英文の安田俊助やすだしゅんすけ君。」
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「おい、君は『しろ同人どうじんの音楽会の切符を売りつけられたか。」と真顔まがおになって問いかけた。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
学生時代の僕は第三次並びに第四次「新思潮」の同人どうじんと最も親密に往来わうらいしてゐた。元来作家志望でもなかつた僕のとうとう作家になつてしまつたのは全然彼等の悪影響である。
「仮面」の人々 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
七八年ぜんのことです。加賀かがでしたか能登のとでしたか、なんでも北国の方の同人どうじん雑誌でした。
一人の無名作家 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
僕等「新思潮しんしてう社」同人どうじんの列したるは大正天皇の行幸し給へる最後の卒業式なりしなるべし。僕等は久米正雄くめまさをと共に夏の制服を持たざりし為、はだかの上に冬の制服を着、恐る恐る大勢おほぜいの中にまじり居たり。
その頃の赤門生活 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)