可然しかるべく)” の例文
其許そこもと卒業の上は分家致すこと兼々両親の宿念しゅくねんに候間、早速取計らい申上度、ついてはその中一度御帰郷可然しかるべく、実は両親も心待ち致居る様子に御座候。
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「毎度お訪ね下さるので、かへつてわたくしは迷惑致すのですから、どうか貴方から可然しかるべく御断り下さるやうに」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
別紙御銘々様へは、乍憚はばかりながら御三君より御礼可然しかるべく御風語被成下度、此段貴答迄如此かくのごとくに御座候。頓首謹言。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
第六 かりにし小生に多少の動産不動産があったとしてその場合は半額を余の親族のもので縁の順序によって分つがよろしい、その半額は可然しかるべく公共的の事業に使用するがよろしい
生前身後の事 (新字新仮名) / 中里介山(著)
御主人ヘ被対むかわせられ如何ト奉存候、此儀私ニハ御構不被成候おかまいなされずそろ可然しかるべく奉存候、此段御直ニ可申上ト存候ウトモ御承引ナサルマジク候ニ付、わざ不申候もうさずそろ爰元ここもとヘ参居シ、御船ノ儀ハ幾重ニモ御断申候おことわりもうしそろ
巌流島 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
小生フランネルの単衣を着て得々欣々きんきんとしてしかも服薬を二種使用致し居候。「千鳥」の原稿料御仰せの通にて可然しかるべくかと存候。「柳絮行りゅうじょこう」はつまらぬ由。小生もゆっくりと拝見する勇気今は無之候。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
於予可然しかるべく存候間其旨申答了そのむねまうしこたへをはんぬ
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
『お殿様御事おんこと年来御放蕩の結果お鼻御落滅。同時に御失明のおそれ有之候間片時へんじも早う眼科へ転学可然しかるべく』とありました。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)