“古言(こげん)” の例文
田舎言葉(ゐなかことば)には古言(こげん)のまゝをいひつたへてむかしをしのぶもあれど、言(こと)の清濁(せいだく)をとりちがへて物の名などのかはれるも多し。
抽斎は古文尚書の伝来を信じた人ではないから、これを以て堯の舜に告げた言(こと)となしたのでないことは勿論である。そのこれを尊重したのは、古言(こげん)古義として尊重したのであろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
一同はいまさらながら、天網恢々(てんもうかいかい)疎(そ)にして漏(も)らさずという古言(こげん)を味わった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
今も我があたりにて老女(らうぢよ)など今日(けふ)は布を市にもてゆけなどやうにいひて古言(こげん)ものこれり。東鑑(あづまかゞみ)を案(あんず)るに、建久三壬子の年勅使(ちよくし)皈洛(きらく)の時、鎌倉殿(かまくらどの)より餞別(せんべつ)の事をいへる条(くだり)に越布(ゑつふ)千端(たん)とあり。
越後の紵商人(をあきんど)かの国々にいたりて紵(を)をもとめて国に売(う)る、紵(を)を此国にてもそといふは古言(こげん)也。麻(あさ)を古言にそといひしは綜麻(へそ)のるゐ也。麻(あさ)も紵(を)も字義(じぎ)はおなじく布(ぬの)に織(おる)べき料(れう)の糸をいふ也。