口輪くちわ)” の例文
口輪くちわからふり飛ばされて、しりもちをついたり、また空走からばしり(試走)のこまが、やんごとなき御座の正面で、ゆうゆうと尿いばりをしたりすることである。
「なに、カピ、ゼルビノ、ドルスに口輪くちわをはめろとおっしゃるか」親方は巡査じゅんさに向かって言うよりも、むしろ見物に対して聞こえよがしにさけんだ。
そして、謙信はといえば、そこへ逸早く、鬼小島弥太郎が、拾い馬の口輪くちわをつかんで曳き寄せて来たので、その背へ跳び乗るが早いか一鞭加えて
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
権力けんりょくを代表せられる令名れいめい高き閣下かっかは、わたくしの一座いちざ俳優はいゆうどもに、口輪くちわをはめろというご命令めいれいでございますか」
藤吉郎は、翌日、郎党ひとりに馬の口輪くちわらせ、ただ一名、焼け野原をトコトコ駈けて、高岡城の濠際ほりぎわまで来た。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あしたもしカピが芝居しばい最中さいちゅうに、口輪くちわを食い切るようなことがあるといけませんから、まえからそれをはめておいてらしてやらないでもいいでしょうか。
その馬の口輪くちわは、迎えに走った子息利長が握って、親切にみずから案内して来たのである。供の八騎は、中門外に残して来たとみえ、これは勝家一騎だった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『参っておりましたが、こよいは、平太がお口輪くちわをとって帰るからと——先に、やしきへ、帰しました』
と、小姓にいいつけ、自身の愛馬をもって、勝家にすすめた上、ふたたび利長に口輪くちわを取らせて
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、自身、秀吉の馬の口輪くちわを取った。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)