参河みかわ)” の例文
旧字:參河
それも決してありえざることではない。参河みかわ長篠ながしの地方でおとらという狐にかれた者は、きっと信玄や山本勘助の話をする。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
四極しはつ山、笠縫かさぬい島は参河みかわという説と摂津という説とあるが、今は仮りに契沖以来の、参河国幡豆はず郡磯泊(之波止シハト)説に従って味うこととする。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
しかれども豪傑の後必らずしも豪傑ならず、勇将の子必らずしも勇将ならず、剛健忠武、敵に背を見せざる参河みかわ武士の末、必らずしも参河武士ならず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
夏目は参河みかわにきこえた豪士である、これを克く攻めて勝ち、城将をいけどりしたることまことに奇特というべし、恩賞はのぞみにまかするゆえ何なりと申してみよ。
死処 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
犬頭社は参河みかわ国上和田森崎にあり、社領四十三石、犬尾社は下和田にあり、天正三年中領主宇津左門五郎忠茂猟して山に入る、家に白犬ありて従い走り行く、一樹下に到り忠茂にわかに眠を催す
大宝二年(文武)に太上天皇おおきすめらみこと(持統)が参河みかわに行幸せられたとき、長忌寸奥麿ながのいみきおきまろ(伝不詳)の詠んだ歌である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
参河みかわ武士の典型たる大久保彦左衛門の子孫にあらずして、むしろ賄賂もしくは養子、株の売買なりとは、すこぶる驚怪きょうかいきわみなれども、事実は決してこれを否定するあたわざるなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
甲、信、駿の全土をその勢力のもとにつかんだ武田たけだ氏は、遠江とおとうみ参河みかわの一部を侵して、ずいしょに砦城をふみやぶりながら、三万余の軍勢をもって怒濤どとうのごとく浜松城へと取り詰めている。
死処 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼は参河みかわくに額田郡ぬかだごおりの郷士であって、永禄六年九月、一向宗徒が乱をおこしたとき、大津半右衛門尉おおつはんえもんじょう乙部八兵衛尉おとべはちべえじょうらと共に一揆の徒にくみし、野羽の古塁こるいって反旗をひるがえした
死処 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「安礼の埼」は参河みかわ国の埼であろうが現在の何処どこにあたるか未だ審でない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)