午餐ひるげ)” の例文
なお、当日、午餐ひるげには菰樽こもだるちょうかがみをひらき、日ごろ功労のあった重臣に鶴の血をしぼりこんだ『鶴酒つるざけ』を賜わるのが例になっていた。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
社の報酬はいうに足らぬほどなれど、棲家すみかをもうつし、午餐ひるげく食べものみせをもかえたらんには、かすかなる暮らしは立つべし。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
わが姫の面を見しは午餐ひるげの時なりき。げに人傳に聞きつる如くおとなびて見え給へど、世の人の美しとてもてはやすたぐひ姿すがたかほばせにはあらざるべし。面の色は稍〻蒼かりき。
何かとする中に、関山も後にして、彼是かれこれひる少しすぎた時分には、とうとう三井寺の前へ来た。三井寺には、利仁の懇意にしてゐる僧がある。二人はその僧を訪ねて、午餐ひるげの馳走になつた。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
殊に湯より上り來れば、虎の皮を敷き一閑張かんばりの大机を据ゑたる瀟洒なる一室には、九谷燒の徳利を載せたる午餐ひるげの膳既にならべられて、松蕈まつたけかぐはしき薫氣かほりはそこはかとなくあたりに滿てるにあらずや。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
社の報酬はいふに足らぬほどなれど、棲家をもうつし、午餐ひるげに往く食店たべものみせをもかへたらんには、微なる暮しは立つべし。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
社の報酬はいふに足らぬほどなれど、棲家すみかをもうつし、午餐ひるげに往く食店たべものみせをもかへたらんには、かすかなる暮しは立つべし。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
余が文書を受領して大臣の室を出でしとき、相沢はあとより来て余と午餐ひるげをともにせんといいぬ。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
余が文書を受領して大臣の室を出でし時、相沢は跡より来て余と午餐ひるげを共にせんといひぬ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)