北山ほくざん)” の例文
この北山ほくざんの説明は葉之助にとっては驚異であった。彼は疑いもし悲しみもした。しかし結局は北山の言葉を信ぜざるを得なかった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
安西あんせいから北山ほくざん山脈をこえて、トルファン盆地へ出ると、そこは北に積雪のボグド・ウラ、南はクルック・タグの侵蝕丘陵地帯に挟まれた流出口のない低地である。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
われ小石川白山はくさんのあたりを過る時は、かならず本念寺に入りて北山ほくざん南畆両儒の墓を弔ひ、また南畆が後裔こうえいにしてわれらが友たりし南岳なんがくの墓に香華こうげ手向たむくるを常となせり。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
さるを司馬懿は今頃、ここを退いて道を北山ほくざんに取っているにちがいないから、かねて伏せておいた我が関興、張苞ちょうほうらの軍に襲われ、痛い目に遭うているにちがいない
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三十年には保が九月に根本羽嶽ねもとうがくの門にって易を問うことを始めた。長井金風ながいきんぷうさんのことるに、羽嶽の師は野上陳令のがみちんれい、陳令の師は山本北山ほくざんだそうである。栗本鋤雲じょうんが三月六日に七十六歳で歿した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
北山ほくざんはのどけきみ山まろ山の低山ひくやまよろひ匂よき山
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
と云いながら蘭医らんい北山ほくざんが立ったので続いて弓之進も立ち上がった。二人は隣室へはいって行く。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
井上金峩いのうえきんが、山本北山ほくざんらの主張した考証折衷の学説がすなわちこれである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この白粉の重大な意味は、俺と北山ほくざん先生とだけしか知っている者はない筈だ。俺は蹴散らした覚えはない。では北山先生が、今夜ここへやって来て、蹴散らしたのではあるまいか。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)