劇場しばゐ)” の例文
一体劇場しばゐの稽古場といふところは、よく物を失くしたり、拾つたりするところで、坪内逍遙博士が一枚看板の女優を失くしたのも
調とゝのへてやり其外劇場しばゐ見物花見遊山などにも同道して只管ひたすら氣に入るゝやうにぞ仕掛ける夫は偖置さておき爰に澤井友次郎夫婦ならびに若黨わかたう忠八は藤澤宿を立て其の日の中に江戸につきまづ馬喰町の宿屋に足を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
メリー・ガアデン嬢といへば、今は巴里パリーに住んでる、米国で名うての首歌妓プリマドンナだが、ある時劇場しばゐの稽古場で、大事の宝をくしてしまつた。
田原町へ縁付し娘おくめなれ共母が長々の病氣の中も漸々やう/\一度見舞みまひに來りしばかりにて其節も心配の樣子もなく劇場しばゐの咄などしてそは/\と戻りしきり其後は見舞の使つかひだに差越さしこさず如何に不人情成ばとて實母じつぼの病氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ミユンヘンの麦酒ビールも飲んだ。その上にまた劇場しばゐよりも、居酒屋よりも、もつと面白いところへも往つた。そして大層賢くなつて日本に帰つて来た。
劇場しばゐ帰りの姿のまんまで、顔に薄化粧をしてこの世から消えてしまつた。二月前亡くなつた愛人抱月氏のあとを慕つて。
京都俳優やくしやの随一人坂田藤十郎はよく江戸の劇場しばゐへも出たが、その都度江戸の水は不味まづくて飲めないからといつて、態々わざ/\飲み馴れた京の水を幾つかの大樽に詰め込んで
仏蘭西の劇場しばゐの通語で、舞台の背景に深い溝とか道とかをく、それを言ひ馴らはせて来たものだが、西部戦線における仏蘭西画家の働きは、この語をもつと一般的にした。
ある劇場しばゐの楽屋で、松崎天民氏が亡くなつた高田実に訊いた事があつた。