制馭せいぎょ)” の例文
今日の紛糾錯綜入乱れた文化の葛藤を解決し制馭せいぎょする威力のないものであるというのが二葉亭の禅に対する断案で、何かの茶咄ちゃばなしのついでに一休いっきゅう売僧まいす、白隠は落語家
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
お銀様は放逸に、山を出て来たもののようだが、彼女は米友から制馭せいぎょさるべき地位にある女ではない。かえって、米友が統制を受くべきほどの略と権とを持った女だ。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
もとよりどぶも道路も判らぬのである。たちまち一頭は溝に落ちてますます狂い出す。一頭はひた走りに先に進む。自分は二頭の手綱たづなを採って、ほとんど制馭せいぎょの道を失った。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
これが中央政府の地方を制馭せいぎょした政策であって、非常に功労がない限りは関東八州などに住んでおった大地主は、何遍京都へ参勤しても父または祖父の任ぜられたより以上の官に
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
輦轂れんこくの下、将軍の御膝元での兵乱としては、いかに足利時代にしても、まことに稀有の大乱で、これを眼前に置きながら制馭せいぎょし得なかった将軍の無能は、ここに遺憾なく曝露され
それに年が十六で、もう十九になっている玄機よりはわかいので、始終沈重ちんちょうな玄機に制馭せいぎょせられていた。そして二人で争うと、いつも采蘋が負けて泣いた。そう云う事は日毎にあった。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
特に封建制馭せいぎょの道いままったからず、各大名の野心あるもの、あるいは宗教を利用し、もしくは利用せられ、あるいは外邦と結托けったくし、あるいは結托せられ、不測ふそくへんしょうずるもいまだ知るべからず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)