初声うぶごえ)” の例文
旧字:初聲
なぜならば、今の無心に出た十八公麿の声は、ただの嬰児あかご初声うぶごえではない。あきらかに六字の名号を唱えたのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし児供こどもたいでて初声うぶごえを挙げるのを聞くと、やれやれ自分は世界の男の何人だれもよう仕遂しとげない大手柄をした。女という者の役目を見事に果した。
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
せがれがモー学校を卒業しましたから安心だというが学校を卒業したのは社会に対する初声うぶごえげたので、まだう事も立つ事も出来ない人間を野放しに置かれてまるものでない。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
一葉女史は江戸っ子だ、いや甲州生れだという小さな口論争くちあらそいを私は折々聴いた。それはどっちも根拠のないあらそいではなかった。女史が生れたのは東京府庁のあった麹町こうじまちの山下町に初声うぶごえをあげた。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
さてここに『青鞜』は初声うぶごえを上げた。
平塚明子(らいてう) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)