出格子でごうし)” の例文
入口の左手が一間の欞子窓れんじまどになっていて、自由に手の入るだけの荒い出格子でごうしの奥に硝子戸ガラスどが立っていて、下の方だけ硝子ガラスをはめてある。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
軒の垂木たるきまでも漆喰しっくいで包んだ土蔵作りの店の構え、太い角材を惜しげもなく使った頑丈がんじょう出格子でごうし、重い丸瓦でどっしりとおさえた本葺ほんぶきのいらか
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私もこれはいと思い、早速行って見ますと、なるほど、これは格好、往来に向いて出格子でごうしの窓などがあり、茶屋町の裏町になった横丁だが四方も物静かで
あまりのうるささに、彼は街道風な出格子でごうしの二階の見える旅籠屋の入り口をさして逃げ込んだくらいだ。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
で——軒から軒の浅黄暖簾のれんや、がら色の出格子でごうしのうちから
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)