出来星できぼし)” の例文
旧字:出來星
つれなる書生のしたり顔「左様さうサ、陸海軍御用商人、九州炭山株式会社の取締、俄大尽にはかだいじん出来星できぼし紳商山木剛造殿の御宅は此方こなたで御座いサ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
釘といふものは、出来星できぼしの紳士と同じやうに、根締ねじめゆるむと、直ぐ頭を持ちあげたがるものなので、時々金槌で叩いておく必要がある。
本田のぼると言ッて、文三より二年ぜんに某省の等外を拝命した以来このかた吹小歇ふきおやみのない仕合しあわせの風にグットのした出来星できぼし判任、当時は六等属の独身ひとりみではまず楽な身の上。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
山の通人が、いよいよそっくり返ったのは、相変らず出来星できぼしの博士が、小学校の生徒を相手にするような態度でありました。そうすると一座の中から、突然に
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
出来星できぼしの金持ですよ。米相場でもうけたとか言って、大変な景気で、その妹のお辰はまた、小格子から引っこ抜いて来て、装束しょうぞくを直したような恐ろしい女ですぜ」
「なぜ曹操に降参せねばならんのだろうか。呉は破虜将軍よりすでに三世を経た強国。曹操のごとき時流に投じた風雲児の出来星できぼしとはわけがちがう。——ご意見、周瑜にはいささかしかねるが」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)