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冥途
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よみ
ふりがな文庫
“
冥途
(
よみ
)” の例文
大地は、
冷々
(
ひえびえ
)
していた。——ひょっとして、自分のあるいている今の闇が——あの世という
冥途
(
よみ
)
の国ではあるまいかなどと思った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
刻
(
とき
)
まえには、佐久間大学、飯尾近江。今はまた、佐々、岩室、千秋なんど、信長の先駆けして、
冥途
(
よみ
)
の前触れに立ったるぞ。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土地の四人の首を揃えての謝罪に目はしら立てて
憤
(
おこ
)
る宋江でもない。むしろ仮死のお蔭で、
冥途
(
よみ
)
の世界をちょっと
覗
(
のぞ
)
いてきたと、宋江は笑うのである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こうした空想の糸は限りもなく
手繰
(
たぐ
)
り出された。新九郎はやがてその空想に疲れて顔を上げると座敷の隅の
短檠
(
たんけい
)
が、
冥途
(
よみ
)
の
灯
(
あかり
)
のように
仄白
(
ほのじろ
)
くなって行った。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老先生の白い
髯
(
ひげ
)
に、深夜の風が、
冷々
(
ひえびえ
)
とながれた。わが子を奪う
冥途
(
よみ
)
の
扉
(
と
)
から洩れて来るような風である。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
ハッと、ただ一つでも、弱い呼吸をつくか、心に
弛
(
ゆる
)
みが起れば、途端にその
踵
(
かかと
)
は
水苔
(
みずごけ
)
の底を滑って永久に帰れない
冥途
(
よみ
)
の激流へ送り込まれてしまうかも知れないのである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
冥
常用漢字
中学
部首:⼍
10画
途
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
“冥”で始まる語句
冥加
冥利
冥土
冥府
冥々
冥福
冥
冥想
冥罰
冥護