写楽しゃらく)” の例文
旧字:寫樂
春章しゅんしょう写楽しゃらく豊国とよくには江戸盛時の演劇を眼前に髣髴ほうふつたらしめ、歌麿うたまろ栄之えいしは不夜城の歓楽に人をいざなひ、北斎ほくさい広重ひろしげは閑雅なる市中しちゅうの風景に遊ばしむ。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
エイゼンシュテインは特に写楽しゃらくのポートレートを抽出して、強調された顔の道具の相剋的そうこくてきモンタージュを論じているが
映画芸術 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
日本人はいつでも外国人に率先される。写楽しゃらく歌麿うたまろ国政くにまさ春信はるのぶも外国人が買出してから騒ぎ出した。
春章しゅんしょう写楽しゃらく豊国とよくには江戸盛時の演劇を眼前に髣髴ほうふつたらしめ、歌麿うたまろ栄之えいし不夜城ふやじょうの歓楽に人をいざなひ、北斎広重は閑雅なる市中しちゅうの風景に遊ばしむ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
写楽しゃらくの女の変な目や眉も、これが髷の線の余波として見た時に奇怪な感じは薄らいでただ美しい節奏を感じさせる。
浮世絵の曲線 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
例えば光琳こうりんの草木花卉かきに対するのでも、歌麿うたまろ写楽しゃらくの人物に対するのでもそうである。こういう点で自分が特に面白く思うのは古来の支那画家の絵である。
訳者いわく。クルトは歌麿につい写楽しゃらくの研究を出せり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そういうわけで裾から上だけをかいた歌麿うたまろの女などが、こせつかない上品な美しさを感じさせるのではあるまいか。写楽しゃらくのごとき敏感な線の音楽家が特に半身像を選んだのも偶然でないと思われる。
浮世絵の曲線 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
光琳こうりん歌麿うたまろ写楽しゃらくのごとき、また芭蕉ばしょう西鶴さいかく蕪村ぶそんのごときがそれである。彼らを昭和年代の今日に地下より呼び返してそれぞれ無声映画ならびに発声映画の脚色監督の任に当たらしめたならばどうであろう。
映画時代 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)