傾向かたむき)” の例文
彼は生命いのちの新たなるころまことの力すぐれたれば、そのすべての良き傾向かたむきは、げにめざましきあかしとなるをえたりしものを 一一五—一一七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
それには呉服屋が店の関係上、上方の栖鳳や春挙の作に比べると、東京側の作家のものを、幾らか値段を低くつける傾向かたむきがあるにも依るらしいといふ事だ。
子供の時分から成程さう云ふ傾向かたむきつてゐたけれど、今のやうに太甚はなはだしくはなかつたやうに考へるがな。子供の時分にさうであつたなら、今ぢや猶更なほさらでなければならんのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それが一堂に配列されることであるから、自然と自分の寄進したものが、他よりすぐれているようにと、一種の競争心を生じ、一層このことに熱心になるという傾向かたむきします。
つまるところは議論——ただ空論にしってしまうことが、今日の倫理説の傾向かたむきである。
今世風の教育 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
それで校長は進取の気象に富んだ青年教師を遠ざけようとする傾向かたむきを持つのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
天は汝等の心のうごき最初はじめ傾向かたむきを與ふれども、凡てに於て然るにあらず、また假りに然りと見做すも汝等には善惡を知るの光と 七三—七五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
斯の傾向かたむきはずつと早い頃からあらはれまして、豐田さんの家へ行つて二年目に成る頃には、私は柔い鉛筆と畫學紙を携へて、築地の居留地の方までも鉛筆畫を作りに出掛けたことがあります。