信濃金梅しなのきんばい)” の例文
それからは楽な登りを続けていつか三角点を過ぎ、木立を抜け出ると偃松はいまつの散生した草原に、黄金色の信濃金梅しなのきんばいや純白な白山一華はくさんいちげ、夫等に交って大桜草
その薄ッペラの崖壁にも、信濃金梅しなのきんばいや、黒百合や、ミヤマオダマキや、白山一華はくさんいちげの花が、刺繍をされた浮紋うきもんのように、美しく咲いている、偃松はいまつなどに捉まって、やっと登ったが
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
信濃金梅しなのきんばいのようであったが、側まで行って確める程の勇気はなかった。道は急に爪先上りとなって、ぶなならの大木が茂った中を九十九折つづらおりに上っている。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
雪解の水で湿しめっているところへ、信濃金梅しなのきんばいの、黄色な花の大輪が、春の野に見る蒲公英たんぽぽのように咲いている、アルプスの高山植物を、代表しているところから、アルプスの旅客が
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
三十分とは懸らなかったが寒さにふるえてしまった。尾根の西側には舟底に似た草原の窪地が続いて、目のさめるような鮮黄色の信濃金梅しなのきんばい珍車ちんぐるまの花などが咲いている。
大井川奥山の話 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
白山一華はくさんいちげの白と、信濃金梅しなのきんばいの黄とが、多く咲いている、チングルマの小さい白花、赤紫の女宝千鳥にょほうちどりなどで、小さい御花畑を作っている、霧の切れ目に、白河内岳が眼の前に、ぼんやり現われた
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
此処は白馬浅葱、白馬扇しろうまおうぎ白山小桜はくさんこざくら信濃金梅しなのきんばい高根薔薇たかねばら黄花石楠きばなしゃくなげ、黒百合、色丹草しこたんそうなど、素人目にも美しい花がそれこそけんを競い麗を闘わし、立派なお花畑である。
白馬岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
傷だらけになる、信濃金梅しなのきんばいの花は、黄色な珠をならべて、絶頂から裾までを埋めた急斜の、大黄原を作っている、稀に女宝千鳥や、黒百合も交っているが、このくらい信濃金梅のさかん団簇だんそうしたところは
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
偃松はいまつの途切れた間や、短矮たんわい唐檜とうひ白檜しらべのまばらに散生している窪地や斜面に、や広い草原が展開して、兎菊うさぎぎく信濃金梅しなのきんばい丸葉岳蕗まるばだけぶき、車百合などが黄に紅に乱れ咲き
鹿の印象 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)