伝教でんぎょう)” の例文
当山の開祖伝教でんぎょう大師の遺骨を納めてあるという浄土院へゆく路と四明ヶ嶽へ行く路との分れ目の所に一軒の茶店のあるのが眼についた。
青年僧と叡山の老爺 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
換言すれば、「この上もない真実なさとり」という意味が、阿耨多羅三藐三菩提ということです。あの比叡山ひえいざんをお開きになった伝教でんぎょう大師は
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
伝教でんぎょう入唐出立の際暴風大雨し諸人悲しんだから、自分所持の舎利を竜衆に施すとたちまちんだと出づ。
しかし伝教でんぎょう以来の宝塔仏舎ぶっしゃ灰燼かいじんとされ、万を数える師弟骨肉を殺戮さつりくされた衆徒や有縁うえんの者どもが、何で、まだ生々しい当年のうらみを、心から忘れておりましょうか
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まあ、わたしどもに言わせると、伝教でんぎょうでも、空海くうかいでも——みんな、黒船ですよ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
阿耨多羅三藐三菩提あのくたらさんみゃくさんぼだいの仏たちわが立つそまに冥加あらせたまへ (伝教でんぎょう
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
ことに、一山の大部分のものは、日にまして、師の房をしざまに沙汰するのみか、伝教でんぎょう以来の法文を自分一個の見解でふみにじる学匪がくひだとさえののしっているではございませぬか。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伝教でんぎょう
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「いや、なんと仰せありましょうとも、われわれどもは、臣として、御諫止ごかんしいたすしかございません。——勿体なくも、桓武天皇このかた、伝教でんぎょう以来の霊跡れいせきを、灰燼かいじんにしてしまえの、また……」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大師伝教でんぎょうが当山をひらかれたのは、王城の鎮護、国土安泰のためと承知いたすが、甲冑かっちゅうをまとい、剣槍を羅列られつし、政争にかかわり、武略をもてあそび、朝命にそむく兇兵にくみして、王土の民を苦しめよとは
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)