伎倆うで)” の例文
「たとえどのような伎倆うでがあろうと、世間には名人達人がある、上越す者がどれほどでもある、増長慢になってはいけないのう」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それでかれとほ利根川とねがは工事こうじへもつたのであつた。かれ自分じぶん伎倆うでたのんでる。かれ以前いぜんからもすこしづつ開墾かいこん仕事しごとをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
幸「伎倆うでい職人というものは、お世辞も軽薄もないものだと聞いていましたが、成程彼の長二も其のたちで、なか/\面白い人物のようです」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そう申しちゃ何ですけれど、あたしはお嬢さんがあんまり伎倆うでがなさ過ぎると思いますわ」
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
伎倆うでのしっかりした職人か、さもなければ丈夫な百姓ばかりでな。ようがすかね、例えばあの馬車大工のミヘーエフじゃて! あいつは立派な弾機ばねつきの馬車より他にゃあ拵らえなかっただ。
胴を輪切るか真っ向を割り付けるか、伎倆うで如何いかん躰形たいけいの如何、呼吸の緩急によって変化縦横! が、どっちみち恐ろしい。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「もっとも、人間にはいちいち持ち前の体質の相違があって、それによって同じ病気でも、出かたが違う。そこを見分けて手当も変えて行く。そこに医者の伎倆うでの優劣があるのだが……」
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
技が勝れているだけに、伎倆うでが伯仲であるだけに、その気疲労も甚だしいのであった。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)