いんま)” の例文
姉御の声で、塚道の扉を叩きながら、言つて居たのもいんまの事——ではなかつたのだ。昔だ。おれのこゝへ来て間もないことだつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
そうれまんだきもべ焼けるか。こう可愛めんこがられても肝べ焼けるか。可愛めんこ獣物けだものぞいわれは。見ずに。いんまになら汝に絹の衣装べ着せてこすぞ。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「へえ、なんだっていんまじぶん、こっから出ていけるもんかね」と、さも色男然とした声で、セルゲイが言い返した。
姉御の声で、塚道の扉を叩きながら、言って居たのもいんまの事——だったと思うのだが。昔だ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)