人渦ひとうず)” の例文
するうちに、烈しい人渦ひとうずに巻き込まれ、われにもなく、一門の内へ入っていた。道化踊りの一群と、それにくッついて歩く群集の中にいたのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
するとまたぞろ、三りょうの江州車を押してきた旅商人の一団が、しゃ二、人渦ひとうずの中へ割りこんでいた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さけびながら、まみれの人渦ひとうずのなかへ、まっ白なれつゆきのようにらかしていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたせ、渡さぬ、の苦情くじょうが、そこに人渦ひとうずをまいてもめているすきに、石見守いわみのかみの目くばせで、呂宋兵衛るそんべえ菊池半助きくちはんすけのふたりが、ぷいと、どこかへ姿すがたしたことを、だれひとり気づいた者がない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
泉殿の殿口、廊門、表門にかけて、一しきり混雑の人渦ひとうずが巻いた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
誰か、熱鬧ねっとう人渦ひとうずのうちから、その時綽空の輦を眼がけて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無数な人渦ひとうずのなかに、無数な剣戟けんげきがひらめきうごく。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)