乾破ひわ)” の例文
垂れはちぎれ、凭竹もたれ乾破ひわれ、底が抜けかかって、敷蒲団から古綿がはみだしている。とんと、闇討にあった吉原駕籠のていたらく。
お末は苦しみに背中を大波のやうに動かしながら、はつ/\と熱い気息いきいて居た。唇はかさ/\に乾破ひわれて、頬には美しい紅みを漲らして。
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
ぴったり締まって乾破ひわれのした玄関の雨戸に、もう黄色くなりかけた一枚の白紙が、さも二人をあざけるように貼り付いて、墨痕ぼくこん鮮やかに——「かしや」と読める。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
何だか新しいうしほの滿ちて來るやうな、さかんな、爽快たうかいな感想が胸にく。頭の上を見ると、雨戸あまどふし穴や乾破ひわれた隙間すきまから日光が射込むで、其の白い光が明かに障子しやうじに映ツてゐる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)