乱橋みだればし)” の例文
旧字:亂橋
砂丘さきゅうをのぼりきると材木座ざいもくざのほうに続く道路に出た。葉子はどうも不思議な心持ちで、浜から見えていた乱橋みだればしのほうに行く気になれなかった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
浜の方へ五六間進むと、土橋が一架ひとつ、並の小さなのだけれども、滑川なめりがわかかったのだの、長谷はせ行合橋ゆきあいばしだのと、おなじ名に聞えた乱橋みだればしというのである。
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雨戸のうちは、相州西鎌倉乱橋みだればし妙長寺みょうちょうじという、法華ほっけ宗の寺の、本堂にとなった八畳の、横に長い置床おきどこの附いた座敷で、向って左手ゆんでに、葛籠つづら革鞄かばんなどを置いたきわに、山科やましなという医学生が
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)