九月ながつき)” の例文
「白露を玉になしたる九月ながつきのありあけの月夜つくよ見れど飽かぬかも」(巻十・二二二九)等、ほか十五、六の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
五五あら玉の月日はやくゆきて、五六下枝したえ茱萸ぐみ色づき、垣根の五七野ら菊にほひやかに、九月ながつきにもなりぬ。
文治元年九月ながつきの末に、かの寂光院へ入らせおはします。道すがらも四方よもこずゑの色々なるを、御覧じ過ごさせ給ふ程に、山陰やまかげなればにや、日もやうやう暮れかかりぬ。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
九月ながつき下旬すゑつかた、けふはことに二一なごりなくぎたる海の、にはか二二東南たつみの雲をおこして、小雨こさめそぼふり来る。
九月ながつき時雨しぐれあめれとほり春日かすがやまいろづきにけり 〔巻十・二一八〇〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
帰途に、「天雲のたゆたひ来れば九月ながつき黄葉もみぢの山もうつろひにけり」(同・三七一六)、「大伴の御津みつとまりに船てて立田の山を何時か越えかむ」(同・三七二二)などという歌を作って居る。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)