世阿弥よあみ)” の例文
「おかしいなア……? たしかに、お千絵様という、前の世阿弥よあみ様の御息女が、ここに押し込められているという話なんだが」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それは一ちょうせきに話せぬが、つまるところ、お千絵という世阿弥よあみの娘も、弦之丞に思いをよせて、あいつに逢うのを一念で待っているのだ」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初めて疑いを晴らして次には、自分の素姓すじょうや、お千絵様と世阿弥よあみとの境遇も、つつまず二人の前へ語ることになった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、その者たちが、自身より一足早く、甲賀世阿弥よあみを殺しに向っているとは、もとより知らないふたりであった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、世間が泰平になるにつれて、ものものしい集合もなく、世阿弥よあみの代になっては、一度も使ったことがない。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
町通りを行き過ぎた多市を見かけて、万吉もヒラリと土蔵のかげを離れた。手紙と交換に阿波入りの事情や甲賀世阿弥よあみの身の上などを探り取ろうという了簡りょうけん
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いうな、最前の密談を聞く者あって、汝が甲賀世阿弥よあみの縁故の者ということは明白なのだ。言い訳があるならお下屋敷しもやしきへ参った上に、何なりと申し述べろ!」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
というなあ、無銘の方の小柄こづかには、弦之丞のしるしと聞いた三日月紋の切銘きりめいがあり、もう一腰の新藤五の古いさやには、甲賀世阿弥よあみという細字さいじ沈金彫ちんきんぼりに埋めこんでありました。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、世阿弥よあみが、死のまぎわに、口に洩らしかけてことれた謎のことばであった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
徳島城の城地没収じょうちぼっしゅう、二十五万石取潰とりつぶしの審議が老中議判ろうじゅうぎはんとなった時、唯一の証拠である、世阿弥よあみ血筆の秘帖の一部が裂きとられてあったため、そこの数ヵ条の肝腎かんじんな個所が不明となり
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこには、彼が剣山で手に入れた秘帖、世阿弥よあみの血書が隠蔽いんぺいしてある。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世阿弥よあみのかたみ——新藤しんとう国光くにみつの刀へ。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)