与平よへい)” の例文
旧字:與平
与平よへい与平、酒部屋からもっと運べ。なに、まだ初めのが半分もあるというか。はて、一向にすすまんなあ。与平、これへ来て、そちもじれ」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほんの少し、つつみの上が明るんでいるなかで、茄子色なすいろの水の風だけは冷たかった。千穂子ちほこかまの下をきつけて、おそ与平よへいむかえかたがた、河辺まで行ってみた。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
そのほか鮨屋すしや与平よへい鰻屋うなぎや須崎屋すさきや、牛肉のほかにも冬になるとししや猿を食はせる豊田屋とよだや、それから回向院ゑかうゐんの表門に近い横町よこちやうにあつた「坊主ぼうず軍鶏しやも」——かう一々数へ立てて見ると
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
与平よへいという親仁おやじは、涅槃ねはんったような形で、どうに寝ながら、仏造ほとけづくったひたいを上げて、汗だらけだけれども目の涼しい、息子せがれ地蔵眉じぞうまゆの、愛くるしい、若い顔を見て、嬉しそうにうなずいて
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
与平よへい。そちは悦之進えつのしんを伴って、提灯ちょうちんをたずさえ、とくと、附近の検分をいたして来い」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
与平よへいどの。剣持けんもちどの。ちょっとお越し下さい」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)