不毛ふもう)” の例文
そして、私はあなたのことを考え、私には、もう、どうしようもなく不毛ふもうな未来しかないのだと、自分に納得させていたのでした。
軍国歌謡集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
山をくだるとき、おい満洲を汽車で通ると、はなはだ不毛ふもうの地のようであるが、こうして高い所に登って見ると、沃野よくや千里という感があるねと、橋本に話しかけたが
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
然るに北多摩郡でももっとも東京に近い千歳村の僅か五百五十町歩の畑地はたちの中、地味ちみも便利も屈指くっしの六十余町歩、即ち畑地の一割強を不毛ふもうの寺院墓地にして了うのは、惜しいものだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
𤍠帶地方ねつたいちほうはこのみつつのものが、うんとそろつてゐるので植物しよくぶつ一番いちばんよくしげつてゐますが、次第しだいみなみきた兩極りようきよくちかづくにしたがつて、くさすくなくなり、何一なにひとえない不毛ふもう平原へいげんになつてしまひます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)