不日ふじつ)” の例文
明治廿一年より開発に着眼し、三拾六年の星霜を経過せり。その間に修得せる感想と体験とは不日ふじつ世に告白することとすべし。
尾瀬沼の四季 (新字新仮名) / 平野長蔵(著)
「袁術か。あれはもう生きている英雄ではあるまい。塚の中の白骨だ。不日ふじつ、この曹操がかならず生捕ってみせる」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで我々新選組が、甲州鎮撫隊と名を改め、正式に幕府から任命され、駿河守殿をたすけ、甲府城を守る事になり、不日ふじつ出発する事になったのじゃが……
甲州鎮撫隊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
見ては焼物中の「民窯」とも称すべきいわゆる「下手物げてもの」を蒐集しゅうしゅうし、不日ふじつその展覧会と研究とを発表する計画でおります。これによって隠れた驚くべき美の世界を
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
いたはり爰を下らせしが大岡殿は早々右の趣きを老中らうぢう方へ申立られ不日ふじつ評定所ひやうぢやうしよに於て吟味有べきとの事なり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「うん、そう、あの仁の妻子をねえ——」と堀は立ちどまって、「——便船で、冬の来ぬうちに送りとどけにゃなりません、が、拙者は不日ふじつ東京にまいるとすると」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
朝鮮でも盗難の被害者は嫌疑者の家の隣宅に往き、某の品を盗まれたから不日ふじつ猫を蒸し殺すと吹聴ふいちょうすると、盗人怖れて盗品をひそかに還付す(『人類学雑誌』三十巻一号二四頁)。
ほかの意味は別として、ただ在所ありかぎつけられるという恐れから、津田はどうしてもこの旅行先を彼に知らせたくなかったのである。その小林は不日ふじつ朝鮮へ行くべき人であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
このたび万国と条約を改めた上は、帝自ら各国公使に対面して、ちかいを立てようとのおぼし召しである。不日ふじつ上京あるべき旨、各国公使に申し入れるよう、帝の命を奉じたのであると。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
みるめいがない。懦夫だふに説くような甘言はよせ。窮したりといえど、関羽は武門の珠だ。砕けても光は失わず白きは変えぬ。不日ふじつ、城を出て孫権といさぎよく一戦を
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「早や尊氏はここまで来ているぞ。九州、四国も挙げてわが麾下きかにあれば、不日ふじつ、ごく近々にはせのぼらん。それまでのこらえだ。歯の根を噛んで、新田勢を食い止めていよ」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不日ふじつおん眉を開き候はん。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)