不埓者ふらちもの)” の例文
鹽「其のおりは悪い奴、主人の妹をそゝのかし、家出をいたすは不埓者ふらちものと云っていたが、此の五六年此のかた懐かしくて、実に逢いたく存じていたな」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この不埓者ふらちものめといって、その肩の処をつらまえて引起ひきおこして、目のめてるのを尚おグン/″\ゆたぶってやったことがある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
売った不埓者ふらちものじゃ。早乙女主水之介、約束通り土産一匹つかわすとこのように申し伝えて、今ただちに南町御番所の水島宇右衛門なる与力の許へ引立てて参れ
『さては、格之進かくのしんめにそそのかされて、明日あしたを前に、立ち退いたものとみえる。……不! 不埓者ふらちものめが!』
夕顔の門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不埓者ふらちものめがッ。傷がむずむずと鳴いて参った! 京弥! 千二百石直参旗本の格式通り供揃いせい!」
心得違いの至りではあるが、拙者若江を連出し、当家へまいって隠れて居りましたなれども、不義淫奔いたずらをして主家しゅか立退たちのくくらいの不埓者ふらちものでは有りますけれども
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
侯成は聞きつけて馬飼の者どもを追いかけ、不埓者ふらちものをみなごろしにして、馬もすべて取返してきた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ましてや世の亀鑑きかんたるべき旗本中にかかる不埓者ふらちものめが横行致しおると承わっては、同じ八万騎の名にかけて容赦ならぬ。いかにも身共、御所望の品々御用立て仕ろうぞ
『仔細を存じおりながら、訴えを怠りおった不埓者ふらちもの、軍律に照らすっ』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三日前の夜、こちらの沼田先生におともして、百姓共をとり返しに参ったのもこの主水之介よ。そこのその旅姿の女も、身共の妹じゃわい。八万騎一統の名をけが不埓者ふらちものめがッ。
「この小輩め。不、不埓者ふらちものめが!」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不埓者ふらちものっ」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不埓者ふらちものっ」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)