不人情ふにんじょう)” の例文
平常ふだん、かわいがっていながら、ペスが、犬殺いぬころしに、つれられていったとっても、もらいにいってやらぬというのは、なんたる不人情ふにんじょうなことだろう。
ペスをさがしに (新字新仮名) / 小川未明(著)
「すると不人情ふにんじょうな惚れ方をするのが画工なんですね」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こころのうちで、みんなの不人情ふにんじょうをうらんでいるのだ。もうけっして、人間にんげんしんじてはならない。それは、まさちゃんの、いうとおりだとおもったからです。
ペスをさがしに (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしが、おまえを自由じゆうにしてやったのではないか。そのときの約束やくそくをすっかりわすれてしまって、わたしをどこへかとしてしまうとは、まことに不人情ふにんじょうはなしだ。
風船球の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おとこ乞食こじきは、自分じぶんたちに、不人情ふにんじょうであったまちをうらめしそうに、いくたびもかえりながら、つかれたあしをひきずって、とぼとぼと、またとおみちあるいて、ほかのまちをさしていったのであります。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)